環境における取組み
地球環境の未来と共に
シップヘルスケアグループが事業活動を継続していくうえで、気候変動をはじめとする環境問題への対応は経営における重要な課題であると捉えています。私たちは事業活動に伴う環境負荷の低減に取り組むと同時に、環境に配慮したサービスを展開することで、地球環境の未来と共に持続可能な社会の実現を目指してまいります。
廃棄物の削減
「生命を守る人の環境づくり」のミッションの下、持続可能な医療提供体制を実現するため、メディカルサプライ事業では医療機関における医療材料管理を行うSPDシステムを提供しています。SPDシステムによる適正な在庫管理・供給により、医療現場や物流の効率化に貢献すると同時に、医療廃棄物の削減にも貢献しています。
医療材料管理・供給のIT化により医療廃棄物削減へ貢献
医療機関で使用される大量の医療材料はそれぞれ使用頻度や使用期限が異なり、厳正な管理を必要とします。また、医療機関は常に最良の医療を提供するために余裕を持った在庫を確保することが多く、過剰在庫から出た使用期限切れの医療材料などの廃棄物は、病院経営を圧迫する課題であるとともに、環境にも負荷がかかります。
当社グループが展開するSPDシステムは、ITを活用した管理によって、適正な在庫管理・供給を実現し、廃棄の抑制にも寄与します。さらに、業界で初めてRFIDを活用したSPDを展開し、医療材料に貼付したタグで「いつ・どこで・誰が・誰に・何を・どの治療に使ったのか」のデータを紐づけることで、医療材料のトレーサビリティやサプライチェーンマネジメント(SCM)※の最適化も実現します。適時適切かつ効率的な医療材料供給を通して、環境にも配慮した医療提供体制の構築に貢献しています。
※ SCM:自社内あるいは取引先との間で受発注や在庫、販売、物流などの情報を共有し、原材料や部材、製品の流通全体の最適化を図る管理手法。
医療従事者の負担軽減・安定的な医療提供に貢献
医療従事者の皆様にとって、医療材料管理をはじめとした医療行為以外の多岐にわたる業務は、負担が大きいものです。慢性的な人手不足に対して具体的な改善策が求められる中、良質で持続可能な医療を提供するためには業務効率化が喫緊の課題です。
当社グループのSPDサービスでは、医療従事者の皆様に代わりITを駆使した高付加価値な医療材料管理サービスを提供。正確かつ迅速な在庫管理を通じて医療現場を支援し、医療に集中できる環境を作り出しています。また、当社グループの医療材料保管庫は災害時の医療材料供給拠点としても機能し、医療のBCPにも貢献しています。
KPI:SPD受託件数
全国246件・約 92,400床の医療機関へ
診療材料の一括調達・管理を受託(2024年3月末)
受託数合計 246件
前期(2023年3月期)比:1件増
循環型モデルの推進
ヘルスケアのトータルプロデュース企業としてさまざまな事業を展開する中、私たちは多くの資源を利用しています。省エネルギーや廃棄物削減を通じてGHG排出量を低減させるとともに、梱包材料をはじめとする資源の再利用や物流プロセスの見直しによって、循環型モデルを構築していきます。
段ボールリサイクルの推進
メディカルサプライ事業では、日々、医療機関へ医療材料をお届けしており、その仕入・販売工程においては大量の廃棄段ボールが発生します。グループの主要なメディカルサプライ関連事業会社から生じる使用済段ボールだけでも1日あたり約6,000ケースにのぼり、その廃棄には多くのエネルギーリソースが必要となります。
そこで2022年より、一部のメディカルサプライ関連事業会社から廃棄される段ボールを紙袋に再生し、当社グループの営業担当者が用いる紙袋として活用する新たな取組みを開始しました。
これにより、資源循環を促すとともに、従来のポリプロピレン加工を施した紙袋よりも廃棄時のGHG排出量を大幅に削減することが可能になります。今後は、このモデルの当社グループ全体への拡大を目指し、環境負荷の低減に貢献する取組みに注力していきます。
KPI:段ボールリサイクル(トライアル)
40kgの副資材を引き取り⇒紙袋500枚(60g/枚=30kg)へ再利用
再生率 75 %
今後の計画
・11,000kg/月の副資材を引き取り⇒再生8,000kg(再生率72%)
※小西医療器株式会社から取組みをスタートし、今後拡大を検討
メディカルサプライ事業から出る廃棄段ボール
再生紙でつくった紙袋
メディカルサプライ事業部門
副部門長 島田 正司
VOICE
医療材料物流全体で環境負荷低減・コスト削減を進め、好循環を生み出すために
SPD事業という医療物流全般を担う業務においては、箱詰めされた医療材料の梱包を解き、医療現場で1日に消費される量を目安にパック化して(バラの状態にして)供給します。そのため、倉庫では段ボール・化粧箱・袋などの副資材が大量のゴミとして発生します。
卸業者は副資材込みの価格で医療材料を購入し、同様に医療機関も、副資材込みの価格で単価契約などを結び、製品納入後に残る副資材は、ゴミ回収業者にお金を払って引き取ってもらっているのが現状です。
今の荷姿を検討した時代の考え方と、現在の物流網や院内物流のあり方にミスマッチが生じている可能性があります。一部、過剰包装に陥っている側面もあるかもしれません。国際輸送の梱包基準なども踏まえると、段ボールをダブルからシングルカートンにするといった抜本的な改革は難しいかもしれませんが、内袋に使用している梱包用ビニールも含めて厚みを薄くするなど、梱包素材の削減や仕様改善への工夫などの議論を活性化させていくべきと考えています。
そこで当社グループでは、まずは自分たちにできることから着手するべく、段ボールの再利用に挑戦しています。これからも、あらゆるステークホルダーや地球環境にとって好循環が生まれる仕組みを検討していきます。
メディカルサプライ事業部門
副部門長 島田 正司
天然資源の節約
医療・介護環境がめまぐるしく変動する中、入浴サービスのあり方も大きく変化しています。当社グループでは多様化するご施設それぞれに最適な浴室環境をご提案するとともに、天然資源の節約にも貢献しております。
アラエルによる湯量削減の実現
お湯を溜めないシャワー入浴装置のアラエルは、従来の当社個浴タイプの貯湯式浴槽と比べて、85%の湯量削減を実現しています。また、「おまかせ洗身モード」を搭載しており、ボタン一つで全身を洗えます。少ない湯量でしっかりと身体を洗えるのもアラエルの大きな特長で、入浴介助の時間短縮と、介護負担の軽減が期待できます。介助する方にも、介助される方にも快適で衛生的なバスタイムを提供し、発売以来、多くのご施設から好評をいただいています。
シャワー入浴装置
シャワーポッド アラエル
全身シャワーイメージ
KPI:入浴時の使用湯量
1名が3分間入浴した場合の使用湯量を
85 % 削減
衛生的で健康な暮らしには、良質な水資源が欠かせません。一般的に水資源が豊富だと認識されている日本でも、災害や天候不順、気候変動などによって水の供給が不安定になることも考えられます。当社グループは、限られた湯量でも快適に入浴できる設備の提供を通じて、豊かな水資源の保全にも配慮した浴室環境づくりに貢献していきます。
※当社個浴タイプと比較
※実使用湯量は入浴時間とご利用者の体格により変動